中村敬先生(淀川キリスト教病院皮膚科)
続・アトピー徒然草
Vol.80 (2008.01)
え〜、本を出してしまいまして、いったん「アトピー徒然草」は一応の終結を迎えたと考えます。
それでも、まだまだ新しい「考察」は生まれてくるもので、本としてまとまってしまった「アトピー徒然草」の行間を埋めるということで、「続・アトピー徒然草」など始めてみることにしました。
と、言っても別に何が変わるわけでもなく、毎回だらだら続くパターンで再スタートするだけのことなのですが‥
とりあえず、はじめてみます。
最近外来の患者さんにお話していることは(「本出しましたので買って下さい」という以外に)、「エネルギー」についてです。
原油価格の高騰であるとか、CO2の排出の少ないクリーンエネルギーだとか、そういうお話ではなく、「心のエネルギー」ともいうべきものです(また、よーわからん事を話し始めやがって、と見捨てないで下さい。
イメージしていただけるように工夫いたしますので‥)。
再三、ストレスなるものについてお話してきましたが、基本的にストレスを受けるという状況において大事なことは、そのストレスを受ける意味とは何か?ということです。
どこにでも転がっている日常ストレスを含めて、ストレスなるものは本人がどう行動しようともやってくるものです。
その時に、行動の目的・目標・意義が明確であれば、ストレスは自分の行動する方向に対して逆向きに向かってくることになりますが、それは「乗り越える」ことで経験値になり、自分を強くしてくれることになります。
行動の目的などが明確でなければ、あるいは行動せずにじっとしていれば、向かってくるストレスはただ自分にぶつかって、過ぎていくだけのものになり、経験値にならず疲労が残るだけになるでしょう。
このことの主旨は既に述べてきたと思いますので、これはおさらいです。
ここで、一つ考えていただきたいことがあります。
「意義」や「目標」「目的」「夢」「憧れ」など、行動の規範となるものはあったとしても、それを維持する事はどうでしょう?
かなり疲れると思いませんか?
「行動」することと同時に、その意義なるものを明確にし続けるのにも「エネルギー」は必要になってくるのです。
最近、「意義」「目的」「目標」「夢」「憧れ」を持つことと同程度かそれ以上に、それを「生み出す」「維持する」ための「心のエネルギー」が大切なのではないかと考えてしまったりしているのです。
この「エネルギー」たるものの正体は何か?
私のイメージでしかないものなのか?
どんどん抽象的な、不可思議な世界に突き進んでいるような恐怖を覚えつつ、続いてしまいます。
Vol.81 (2008.03)
え〜、なんと申し上げてよいやら‥ ご存知であるとは思いますが、今年の1月7日に、「アトピー徒然草」を神戸新聞さんが記事にして下さいました丁度その日に、出版元の「新風舎」が民事再生法の適応を申請してしまいました。
当初は印刷会社の「帆風」が支援して再建するという事を説明されていましたが、10日ほど経った頃にやはり支援ができないとのことで「倒産」になってしまいました。
そのため、現在「アトピー徒然草」の書籍は流通しておりません。
著作権と販売権は著者にありますが、所有権は「新風舎」にあるとの管財人の弁護士さんからのネット上の通知があり、残っている本については著者が買い取らなければ処分されてしまう事態になってしまいました。
ひどい話ですが、処分されてしまっては元も子もありませんので、買い取る手続きをして、先日130冊の在庫を確保しました。
一部は皮膚科で開業した後輩が患者さんの説明に使いたいとのことで送ることにして、残りは細々と淀川キリスト教病院の売店で販売を続けていきます。
新風舎が所有している、書籍の印刷データをもらうことができれば、他の出版社から再出版できるかもしれませんが、まだどうなるかわかりません。
既にお買い求めになられた読者の方、プレミアがつくかもしれませんので大切にお持ち下さい。
あ〜、ストレス、ストレス。
などと叫んでもしょうがないことを今までつらつら書いてきたわけですから、また始めましょう。
過去は変えられませんので、未来を明るくするためにどうすればよいかを考えて行動する事に徹する事にいたしましょう。
と、いうわけで、前回からはこういう事態に陥ってもなお前向きに進んでいくための「エネルギー」のお話でした。
これは、理想的な生活のモデルとして
「目標・夢に向かって困難に立ち向かい、そこで疲労した時にリフレッシュしてエネルギーを蓄えて再びチャレンジしていくこと」
などと外来で言っておりましたが、この
「エネルギーを蓄えて」
という部分のお話になります。
単純に「自分の時間」というものを持つことでリフレッシュし、エネルギーに変えることのできる方もおられるでしょう。
そういう方が「疲労」している場合は、単純に時間を作ることさえできれば問題が解決する(アトピーがよくなる)こともあります。
ただ、これがなかなか複雑なことも多いのです。
ご自身で考えられた「ストレス」の原因に関して「時間がない」と答えられた方と同じくらい「人間関係」と答えられた方も多いように感じています。
「人間関係」と答えられた方のリフレッシュはどうしたらよいのでしょうか? あまりドロドロしないようにさらっと考えていきたいと思います。
a:6509 t:3 y:0