障がい理解学習 参加レポート(大阪府立阿武野高等学校)
2012年11月8日、大阪府立阿武野高等学校の、「一年生LP(ライフプランニング)障がい理解 分散会」に講師として参加しました。50分の授業を2回行いました。

最初のクラスは男子1名、女子7名の計8名でした。
アトピーを患っている人は、女生徒1名で、たまに手が痒くなる程度の軽い症状でした。
もう1クラスは、男子7名、女子4名の計11名でした。
アトピーを患っている人は5名で、生活などで不便を感じているお話がありました。
両クラスの生徒さん共に、大変熱心に授業を受けていただきました。
今回の授業の目的は、生徒のみなさんにアトピー性皮膚炎を正しく理解していただくことです。
ですので、次のコンテンツで授業を進めさせていただきました。
1時限、50分って結構短いものです。あっという間に時間が過ぎていきます。
そんな中、講師のKさんが的確に授業をスムーズに進めてくださいました。
まず、アトピー性皮膚炎の症状・原因・治療法についてお伝えしました。
アトピーとはどんな病気なのか?
アトピーってどんな病気?
●症状:とにかく痒い!
湿疹・発赤・腫れ・熱を持つ・ただれ・ジュクジュク・ひび割れ・カサカサなど。
皮膚の肥厚(皮膚がぶ厚くなって、ゴワゴワした感じ)
色素沈着(肌の色が黒くなってくる)
●原因:はっきりと特定するのは難しいけれど・・・
身体への負担が皮膚に表れやすいという体質
ある程度成長してからの発症の場合は睡眠不足、生活環境の変化、疲れの蓄積、食生活の乱れ、悩み事などが引き金になりやすい。
食物・金属・紫外線など
●治療法:
- 東洋医学的治療
鍼・お灸・気功・整体・漢方薬など
- 原因の除去
- スキンケア
- 西洋医学的治療法
・ステロイド軟膏
・非ステロイド軟膏
・免疫抑制作用のある軟膏資料1
アトピーはどんなことがつらいのか?
「アトピーはどんなことがつらいのか?」について、アトピーの症状のある生徒さんに尋ねました。
・体育の授業は汗をかくとつらい。
・プールの授業が嫌だ。
・アルバイトの水仕事で皮膚が剥がれる。
etc.
ここでKさんが、あらかじめアトピーを持つ友人(数十名)からいただいたアンケート資料を元に授業を進めました。
高校時代の悩みや困ったこと
- 頭皮に炎症があると、毎日ちゃんとシャンプーしてるのに、制服の肩のあたりに、フケのような白い粉がたくさん落ちて、不潔と思われないか気になった。
- とにかく、水泳の時間が苦痛。普段、制服で隠れている体の傷も丸見えだし、塩素で悪化するのも辛かった。
- 紫外線や汗で悪化することが多く、全校集会や体育の時間が苦痛だった。
- 修学旅行やクラブ合宿など、泊まりの行事が苦痛だった。入浴時間やその後に薬を塗るときなど、友達にどう思われるか心配だった。
- 掃除の時、傷だらけの手で、汚い雑巾を絞るのが苦痛だった。傷に染みるし、雑菌が入りそうで心配だった。
- 顔がひどいと、うつむきがちで、人と目を合わせづらく、何事にも積極的になれず、気持ちがふさぐ。好きな人に、告白もできない。
- クラス替えの後、友達ができるか不安だった。
- 体育祭のフォークダンスの時、手がひどかったので、相手の反応が気がかりで、しっかり手をつなげなかった。
社会や家庭で困ること
- 夏の冷房で体が芯から冷え、冬の暖房で、肌はカラカラ、ガサガサ。
- 化繊の制服が着られないので、私服OKの仕事しかできない。
- 化粧ができないので、ノーメイクOKの仕事しかできない。
- Yシャツの襟に、血や黄色い汁がつくのが困る。
- オシャレができない。胸元の空いた服や、飾りレースの服は無理。夏でも長袖は当たり前、肌に優しい綿100%の服しか着られない。とにかく、着たい服より着られる服って感じ。インナーも同じ。
- 手の症状がひどいと、飲食関係、美容理容関係、介護・医療関係の仕事はきつい。水や洗剤、シャンプー、薬品、消毒液などを頻繁に使うので、みるみる悪化して、仕事を続けられない。
- 自分の周りに、はがれ落ちた細かい皮膚の粉が落ちるので、その掃除が大変だし、人目も気になる。
- 体中に炎症がある場合、それが痛くて、テキパキ動けず、怠けていると誤解される。
- 夜間、かきむしるので、旅行に行きづらい。
- とにかく汗をかくのが怖い。
- 痒みが付きまとうので、何事も純粋に楽しめない。ひどい時は、1時間のドラマを見ることもできない。
- 手がひどいと、レジで店員さんの視線が痛い。
- 仕事でも趣味でも、これまで積み上げてきたキャリアや成果が、アトピーの悪化で台無しになってしまうことがある。「さぁ、これから!」って時に悪化して、休まざるを得なくなったり、やっと巡ってきたチャンスに乗れなかったりするのが悔しい。
- ひどくなると、体重が激減し、夜も眠れなくなり、ますます治りにくくなる。
- 先の予定が立たず、ドタキャンで迷惑をかけることも多い。
資料2-a
アトピー体験談
Kさんと私でアトピー性皮膚炎を通してのほろ苦い体験をお話させていただきました。
Kさん
学生時代、フォークダンスがありました。
憧れの男子生徒と手を繋ぐことは嬉しいけれども、アトピーで手にひどい症状が出ていたため、躊躇してしまい辛い思いをしました。
スーパーやコンビニのレジで、お釣りを貰うときに手を差し出すのが嫌だった。
私(山下)
アトピーの症状がひどくて寝込んでいても、状態は良くならないので、思い切って散歩に出かけました。
マスクを付けて、メガネをかけて、おでこに包帯を巻いて、帽子を深く被って外出しました。
道端で小学生に出会い、大声で「こんにちは!」と声をかけられ我に返りました。
私の姿は不審者そのものだったのですね。
されていやな言動
こちらも、Kさんがご用意していただいた資料を元に授業を進めさせていただきました。
イヤだったりショックだった言動
「それ、うつるんちゃうの?」 → うつりません!
「掻いちゃタメ!」 → 掻かずにすむなら、掻きません。
「薬、塗らなアカンやん!」 → 薬を使わない治療法を選ぶ人もいます
「うわっ、どうしたん!?顔、真っ赤やで」 → わかってます、改めて言わないで!
「ボリボリ足、掻いてるし!」 → 我慢できるならします
「アトピーか何か知らんけど、悩んでるのはお前だけやないで」 → 確かにそうですが・・・
「うわっ、ひどいなぁ。。。大丈夫?」 → これでもマシな方なんです、グサッ!
手がひどい時、思わず触れてしまった時の、相手のギョッとした反応がショックだった。
あれこれ治療法を勧めてくれるが、有難迷惑なこともある。
化粧品のコピー「女は、肌がきれいだと無敵!」に打ちのめされた。
資料2-b
うれしい言動
こちらも、Kさんがご用意していただいた資料を元に授業を進めさせていただきました。
嬉しかった言動
- 調子が悪いことを気にしていたときに、「それほどでもないやん、気にならへんで」と言ってくれたこと。
- ボリボリ掻いていても、気にせず接してくれる、知らんぷりしてくれる。
- 「実はアトピーで・・・」と打ち明けるのは勇気がいる場合もある。そんな時、ちゃんと聴いてくれ、理解してくれたこと。
- ものすごく調子が悪い時は(特に顔)、仲の良い人にも会いたくないことがある、その気持ちをわかってくれたこと。
- 普通のことを普通にできないことに気づいてくれ、理解してくれ、さりげなくフォローしてくれたこと。
資料2-c
※アンケートにお答えいただいたKさんのお友達には感謝いたします。
体調のすぐれない方、多忙の方もおられた中で貴重なお言葉をいただきました。
インターネットの掲示板等に書き込みされている悩み相談について、ディスカッションする
インターネットの質問サイトに書き込まれていた内容に対するディスカッションでは、下記の意見をいただきました。
(時間がおしていたので、ゆっくりお話ができなかったのが少し残念)
*質問
「彼女が自分の障害の事を私に黙っていました。」
参照サイト→ http://okwave.jp/qa/q6652483.html
*意見
・2年間隠される事は嫌だけど、簡単に言える事でもないと思うので、別にいいのでは。
・怒らなくてもいいだろう。
・敢えて言わなくても・・・
・私は問題ないと思います。
・怒るのはちょっと違う。
・言っても言わなくても一緒。
・きちんと相手に、思ったことを行動で示すべき。
・怒らなくてもいいでしょ。
・好きならばアトピーは問題ないはず。
・本当に愛していないのでは。
・気にしなくてもいい話だと思う。
授業の終わりにまとめとしまして、次のお話をさせていただきました。
「アトピーはひとつの個性であって、障がいではない」
「身体に起こる反応として、胃に痛みとして出る人もいれば、頭痛がする人もいるし、お腹をくだしてしまう人もいる。アトピーはただそれが、肌に出る疾患である」
感想
最後に生徒のみなさんから感想をいただきました。
今回の授業の目的である「アトピーを正しく理解してもらう」ことは達成できたのではないかと思います。
S.Yさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
普段通り何気なく接することを学んだ。
気にしていないような意志を示す。
- その他、気づいたこと、感じたこと
今回お話を聞いて、悩んでいるのは自分だけではないと、改めて感じました。
「あるある」と共感できるところがたくさんあって、周りの人も同じなんだと思いました。
互いに理解し合える機会があってとても良かったです。
ありがとうございました。
H.Nさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
自分自身もアトピーだったので、さらにアトピーについて深く知ることができたし、さらに興味を持てた。
人に聞いてみないとわからないこともあるんだなと、実感した。
最近、自分の勝手で医者からすすめられた薬を止めていたので、これをきっかけに飲もうと思う。
- その他、気づいたこと、感じたこと
自分の症状の軽さ
冬の厳しさ、乾燥、風など
M.Tさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
障がいをもっていても、他の人と変わりなく接して、困っていたらフォローしてあげたり、理解してあげようと思う。
- その他、気づいたこと、感じたこと
障がいを知っていると、人の目を気にしたりするが、これからは気を付けようと思う。
M.Hさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
障がいがあることを気にせずに普通に接する。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーの事は、知ってる方かなと思ってたけど、アトピーの人がこんな風に悩んでいるとか初めて知った事が多くて、自分は全然理解できていなかったんだなと思いました。
今日いろいろ知れてよかったです。
O.Aさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
・個性としてうけとめてあげる。
・アトピーの人は、「~してもらえない」「~してくれない」ではなく、理解してもらおうとすること。
・障がいのある人には理解してあげる、聞き入れること。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーの人ってこんなにもいるんだなと思いました。
アトピーって障がいに入るんだと思っていました。
でもちがうよってことがわかりました。
アトピーって途中からなる人がいる事を知り、色々な治療法がある事を知りました。
Y.Sさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
アトピーは目に見えるだけで、全然普通の人と変わらない。
だから、なんの症状もない人と同じように接したらいいと思う。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーはストレスなどから来るものと初めて知った。
それが皮ふに出てしまうだけと分かった。
T.Aさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
きんちょうしたりすると、それが頭痛になるのといっしよで、目に見えるか見えないかのちがいってことを学びました。
- その他、気づいたこと、感じたこと
もともとアトピーのこと知らなかったし、そこまで気にしてなかったけど、これを機会にどのように接したらいいかを知ることができました。
M.Hさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
さりげなく気をつかうようにする。
- その他、気づいたこと、感じたこと
僕はアトピーでも全く気にしてないから、アトピーの事いっぱいしゃべったり、笑い話とかネタにしてるけど、気にしてる人もいるという事を頭に入れといて言動しようと思った。
C.Rさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
普通に接したら良いことと、兄がアトピーで掻いてる時に「掻いたらアカン」みたいな事言うたことあるけど、それも傷付いてる事を知った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
高校生活とか色々な面で、しんどい思いをしている事は知らんかった。
これからそういうので悩んだり、困った人がいたら、しっかり助けてあげようと思う。
F.Jさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
今日学んで、アトピーの人もふつうの人も、同じ接し方をしなければいけないとあらためて教わったし、今までどおりふつうに接していきたいと思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーの人は自分たちが悩まないようなことで悩んでいたことを知って、今までどおり接しながらも相手の状況を見てあげたいなぁと思った。
友達のアトピーがひどくなっても、今までどおり一緒にいたいと思う。
Y.Yさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
自分もだが、すべての障がいのある人はこせいなので、どう接したらよいかを考えることじたい、まちがっていると思う。
なので、なにも考えず接したらいいと思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
感じたことは、障がいという言葉じたい、いらないと思った。
いつか障がいという言葉がなくなってほしい。
N.Aさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
私の中でアトピーは軽いものだと思っていたけど、話をきいてひどいものだと思った。
私たちが何も考えずに言ったことで、相手をきずつけてしまうこともあることを学びました。
- その他、気づいたこと、感じたこと
今日、話をきいてアトピーのことを知りました。
アトピーもふつうの人なので、ふつうに接したらいいと思いました。
M.Kさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
今回は「アトピー」のことについてお話していただいて、私自身、アトピーは肌にぶつぶつが出る程度だと思ってました。
でも実際は、もちろん軽いものもあるけど、重いアトピーもあると知り、驚きました。
アトピーの人と差別しないで、普通に接しようと思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
今回話を聞いて、色んなアトピーがあると知り、驚きました。
アトピーを持っている方の話しをきいて、差別したらあかんと思ったし、思いがけない一言できずつけることがあるから気をつけようと思った。
A.Yさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
差別する気もないし、差別する方もおかしい。
障がいを持っていても、みんな同じ人間だから、みんなと同じようにこれからも接して行く。
- その他、気づいたこと、感じたこと
自分は全然アトピーが強くないからあまり共感することがなかったけど、風があたっただけで痛いのは大変だなって思った。
O.Eさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
アトピーっていうのは、ストレスとか何かあったときに、皮ふに症状が出るだけで、そんな気にする病気じゃないと分かった。
でも、重いときに眠れなくなるのはびっくりしたし、睡眠不足にもなるんちゃうかって思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
今までアトピーはあんまり気にしてなかったけど、今回の勉強で色々学んだ。
うつらんとかも知らんくて初めて知ったし、普通に接しようと思った。
K.Mさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
アトピーについて、自分はまだまだ全然しらなかったし、難しいところもあった。
だけど、話を聞いて、アトピーだからと差別する人がいる事がわかり、ひどいと思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーを持っている人の気持ちを考えていこうと思う。
大丈夫とか聞いても、傷ついてはることも分かったし、さりげなくサポートするだけでいいことを気付いた。
K.Yさん 男子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
差別せずにお互い理解し合って接する。
とりあえず、お互い理解し合うことが大事。
- その他、気づいたこと、感じたこと
この授業受けて、今までより障害者のことを理解できたと思うし、自分も理解していこうと強くそう思いました。
K.Hさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
なんか障がい者やからって、態度とかかえるんとかおかしいと思う。
だから、みんなと同じように接しようと思った。
- その他、気づいたこと、感じたこと
アトピーってそんな深く考えたことなかったけど、今回の授業を通して、どういう症状がでるとか、色々な事が知れてよかたです。
I.Nさん 女子
- 学んだこと 障がいのある人とどのように接したらよいか?
アトピーだからといって、さけたり、差別とかしたら絶対にだめ。
どんな人にも同じように接する。
まず、理解してあげることが1番!
- その他、気づいたこと、感じたこと
自分がなにげなく言った言葉が、傷ついたりすることに気がついた。
理解することから始めないとだめやなぁと思った。
アトピー関連で親交のあるKさんからのお誘いを受けて、貴重な体験をさせていただくことができました。この場をお借りしましてお礼申し上げます。ありがとうございました。
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